ミラノ・コルティナ冬季オリンピックで世界が盛り上がっているらしいが、南国寄りで育った私には、ほぼ別世界の話である。
氷の上で戦う人たちを見て、「寒そうだなあ」と思うくらいが精一杯だ。
そんな私にも、一度だけスキー経験がある。
今から30年以上も前、経験者の友人に連れられてスキー場へ行った。
もちろん装備はレンタル。
ゲレンデに立った瞬間から、腰は完全にへっぴり腰。
何とかリフトまで辿り着いたものの、乗り方が分からず立ち往生。
見かねた係員に背中を押されて乗せられたが、高さにビビって声も出ない。
そう、大工でありながら「プチ高所恐怖症」だったのだ。
頂上に着くと、友人たちはさっさと滑り去り、私はひとり取り残された。
滑り方も止まり方も分からぬまま、とりあえず動いた結果は、見事なまでの転倒の繰り返し。
ついには、小学生の女の子に笑われながら追い抜かれる始末だった。
それでも、これが私の人生初のスキー場デビューである。
技術は無かったが、転ぶ才能だけはあった。
今となっては、せめて願望だけでも、華麗に滑っている自分を思い描いておこうと思う。

