まだ空気は冷たいのに、ふと気づくと梅が咲いている。
春というのは、案外せっかちで、冬の顔をしたまま先に来てしまうらしい。
その梅の枝に、よくやって来るのがメジロである。
名前の通り、目のまわりが白い小さな鳥だが、実はなかなかの“甘党”だ。
梅の花にくちばしを差し込み、蜜を器用に吸っている。
どうやら、花見というより「花の味見」が目的らしい。
風流というより、食いしん坊である。
昔から「梅に鶯」と言うが、実際に梅によく来るのは鶯よりもメジロのほうだそうだ。
メジロからすれば、「長いこと鶯の代役をやらされていた」と言いたいのでは?
小さな体で枝にとまり、春の甘さを確かめている姿を見ていると、季節はちゃんと進んでいるのだとわかる。
急ぐでもなく、誇るでもなく、ただそこに来て、味わって、またどこかへ行く。
春とはきっと、そんなふうに静かで、少しだけ甘いものなのだろう。
・・・なんてね・・・
